展示会が終わったあと、社内で最初に聞かれるのは「何枚集まった」という質問です。
ところが、集めた枚数と商談の数は比例しません。
名刺を200枚持ち帰っても商談が2件しか立たないことがあり、80枚でも10件に進むことがあります。
この差を生んでいるのは、交換した相手の温度を記録しているかどうかと、会期後に動き出すまでの時間です。
そしてもうひとつ、見落とされがちな要因があります。
名刺交換が起きるかどうかは、ブースの作りにも左右されるという点です。
立ち止まれる場所がなければ会話は始まらず、スタッフが立つ位置が悪ければ声をかけるきっかけがつかめません。
この記事では、目標枚数の決め方から声をかけるタイミング、交換後の記録、会期後48時間の動き方、そして名刺交換が生まれやすいブースの作り方までを通してまとめました。

名刺交換の目標枚数は受注目標から逆算する
最初に決めるのは「何枚集めるか」ですが、この数字を感覚で置くと現場が荒れます。

枚数を目標にすると質が落ちる
枚数だけを目標にすると、スタッフは交換しやすい相手を優先するようになります。
学生や同業他社の社員、資料収集だけが目的の来場者であれば、断られることが少ないぶん短時間で交換できるでしょう。
こうした相手を数えれば枚数は伸びますが、商談化率はほぼゼロなので受注には一切つながりません。
その結果、会期後に名刺を仕分ける段階で「使える名刺がほとんどない」という状態になります。
枚数は追うべき指標ではありますが、単独で置かず、商談化率や後述するA区分の件数とセットで見る必要があります。
社内への報告でも「200枚交換、うち商談につながる見込みが25件」という形にしておくと、翌年の改善点が見えやすくなるはずです。
逆算の手順
必要な枚数は、受注目標から順に割り戻して求めます。
受注目標から必要な商談数を出す
まず決めるのは、この出展で何件の受注を狙うのかという一点です。
次に、自社の受注率(商談から受注に至る割合)で割ると、必要な商談数が出ます。
受注目標が3件で受注率が20%なら、必要な商談数は15件です。
この受注率は、必ず展示会経由の数字を使ってください。
紹介や問い合わせ経由の商談は相手がすでに課題を自覚している状態なので受注率が高く、その数字を展示会に当てはめると必要枚数を少なく見積もることになります。
展示会経由の実績がまだ無い場合は、通常の受注率から1〜2割低く置いておくと計画が崩れにくくなります。
商談化率から必要な名刺枚数を出す
続いて、交換した名刺のうち何%が商談に進むかで割ります。
商談化率が10%であれば、15件の商談には150枚の名刺が必要という計算になります。
初出展で自社の数値がない場合は、商談化率5〜10%を仮置きして計画を組み、翌年以降は実績値に差し替えていきます。
この数字は業種や商材の単価によって大きく変わるため、他社の事例をそのまま持ってくるより、仮置きして自社で測るほうが早く精度が上がります。
| 項目 | 数値の例 |
|---|---|
| 受注目標 | 3件 |
| 受注率 | 20% |
| 必要な商談数 | 15件 |
| 商談化率 | 10% |
| 必要な名刺枚数 | 150枚 |
1日あたり・スタッフ1人あたりに割る
出した枚数を、会期の日数とスタッフの人数で割ります。
3日間の会期でスタッフが5人なら、150枚は1日50枚、1人あたり1日10枚です。
この単位まで落とすと、現場で達成できる数字かどうかが判断できます。
1人10枚は1時間に1〜2枚のペースなので、十分に会話をしながらでも届きます。
逆に1人30枚という数字が出てきた場合は、1時間に4枚以上を会話つきでこなす計算になるため、スタッフを増やすか目標そのものを見直す必要があります。
人数を増やせないのであれば、声をかける相手を絞って1件あたりの質を上げるほうが、最終的な商談数は増えます。
声をかけるタイミング
名刺交換まで進めるかどうかは、どのタイミングで声をかけたかでほぼ決まってしまいます。

立ち止まった瞬間ではなく、見ている対象が決まった瞬間
通路から入ってきた直後に声をかけると、来場者は身構えてそのまま通り過ぎていきます。
待つべきなのは、来場者の視線が特定の展示物やパネルで止まった瞬間です。
この時点で相手は何を見るかをすでに決めているので、その対象についての一言から入れば会話が自然に成立します。
「その製品、◯◯向けなんです」のように、相手が見ているものを説明する形が自然です。
反対に「何かお探しですか」という問いかけは、相手に自分の目的を言語化させる負担をかけるため、「大丈夫です」と断られて離脱されやすくなります。
同じ理由で「ご説明しましょうか」も断りやすい聞き方なので、質問ではなく、相手が見ているものについての情報提供から入るのが基本形です。
正面からではなく斜め後ろから
真正面から近づくと、相手は進路を塞がれた形になるため反射的に後ずさりします。
斜め後ろか横から、相手と同じ方向を向いて立つと、圧迫感が出ません。
同じものを一緒に見ている姿勢になるため、説明もそのまま続けられます。
展示台を挟んで向かい合う配置より、横に並んで同じものを見られる配置をブース側で用意しておくと、この形を自然に取れます。
壁付けのパネルの前は横並びになりやすく、島のように置いた展示台の周りは向かい合いになりやすい、という違いがあります。
名刺を切り出す合図になる3つの言葉
来場者から次の言葉が出たら、名刺交換に進んでよい合図です。
- 「資料はありますか」
- 「詳しく聞きたい」
- 「◯◯には対応できますか」(具体的な条件の確認)
いずれも相手が自分の課題を話し始めた状態なので、ここで名刺を出せば自然に交換できます。
逆にこの合図が出る前に名刺を求めると、営業される前触れだと受け取られ、情報を取られる警戒感が先に立ちます。
合図が出ないまま会話が続く場合は無理に交換せず、資料だけ渡して次の来場者に移るほうが、全体の効率は上がります。
声をかけない人を決めておく
通路を歩く全員に声をかける方針にすると、スタッフの体力が会期の途中で尽きてしまいます。
事前に、声をかけない相手の基準をスタッフ間で共有しておきます。
袋を大量に持って足早に歩いている人、同業他社の社員証を提げている人、学生など。
この線引きを初日の朝に共有しておくだけで、スタッフの消耗が抑えられ、1日の後半になっても声かけの質が落ちにくくなります。
ただし見た目だけで判断すると機会を逃すこともあるため、迷ったら声をかけるという原則は残しておいてください。
名刺交換のマナーと流れ

展示会の名刺交換は、机がなく立ったまま行うという点でオフィスでの交換と条件が違います。
立ったまま交換するときの持ち方
机がない状態で交換することになるため、名刺入れを台のように使って渡す形になります。
相手より先に差し出すのが基本ですが、展示会では同時交換になることがほとんどです。
その場合は、右手で渡しながら左手で受け取り、受け取った名刺は名刺入れの上に乗せます。
受け取った名刺をそのままポケットへ入れる動作は相手に見られているので、スタッフ全員で扱い方を統一しておきます。
展示会は立ちっぱなしで両手がふさがりやすいため、名刺入れを入れるポケットをあらかじめ決めておくと所作が安定します。
複数人と同時に交換する場合
上司と部下、あるいは別部門の担当者など、2人以上で来場するケースは珍しくありません。
役職の高い方から順に交換するのが原則ですが、展示会では立っている位置の近い方からでも問題ありません。
重要なのは、誰が決裁権を持っているかを会話のなかで把握することです。
受け取った名刺を並べる順番を、相手が立っていた順と揃えておくと、誰がどの発言をしたかを後から結びつけられます。
決裁権を持つ方が同席していた場合は、その名刺にだけ印を付けておくと会期後の優先順位がすぐ分かります。
名刺を切らさないための用意
会期中に名刺が尽きると、その時点から獲得がそこで止まってしまいます。
目標枚数の1.5倍を各スタッフに持たせ、ブース内の決まった場所に補充分を置いておきます。
補充を置く場所はスタッフ全員に共有しておかないと、切らしたときに探す時間が発生し、その間の来場者を取りこぼします。
カウンターの引き出しや受付の下など、接客しながら手が届く位置に置いておくのが実務的です。
相手が名刺を持っていないとき
会期の後半になると、来場者のほうが名刺を切らしていることもあります。
この場合は、その場でアンケートやタブレットの入力フォームに記入してもらう代替手段を用意しておきます。
「後ほど送ります」と言われて実際にメールが届くことはほとんどないため、その場で連絡先を取る方法を必ず用意しておきます。
アンケート用紙であれば書くための平面とペンが要り、タブレットであれば置き場所と電源が要るので、どちらを採用するかは設計の段階で決めておく必要があります。
なお名刺を切らしている来場者は、すでに多くのブースを回ってきた熱心な来場者であることが多く、取りこぼすと惜しい相手です。
代替手段を用意していないブースが多いぶん、ここを押さえておくだけで他社と差が付きます。
交換した名刺に温度を記録する
交換したあとの数十秒をどう使うかが、最終的な商談数を分ける最大の分岐点になります。

その場で3段階に分ける
相手が立ち去った直後に、受け取った名刺をその場で3つに分けます。
| 区分 | 状態 | 会期後の動き |
|---|---|---|
| A | 具体的な課題と時期を話した | 翌日に電話 |
| B | 関心はあるが時期は未定 | 48時間以内にメール |
| C | 挨拶・資料収集のみ | 一斉配信に含める |
分け方は、名刺入れを3つに分ける、クリップで留める、角を折るなど物理的な方法が確実です。
その場で分けておかないと、会期が終わった時点ではすべてが同じ束になり、どれが有望だったのか分からなくなります。
名刺入れを3つに分ける方法がもっとも確実ですが、ポケットを分ける、クリップの色を変えるなど、接客の流れを止めない方法であれば何でも構いません。
会話の内容を一言だけ残す
名刺の裏に、会話で出た具体的な言葉を1つだけ書き留めます。
「来年3月に移転」「現在は他社製で不満あり」「決裁は部長」など、短くて構いません。
この一言があるかどうかで、会期後に送るメールの中身がまったく変わります。
書く時間は10秒程度なので、相手が立ち去った直後にその場で書くのが鉄則です。次の接客に入ると忘れます。
ペンを持ち歩くか、カウンターの決まった場所に置いておくかも、事前に決めておいてください。
記録しないと会期後に使えない理由
3日間で150枚を交換すると、会期が終わった時点で顔と名前はほぼ一致しません。
記録がなければ、全員に同じ定型文を送るしかなくなります。
定型文の一斉配信は、相手にとっては「よくあるメール」なので反応が落ちます。
記録を残しておけば、少なくともA区分とB区分には個別の文面を作れます。
150枚のうちA・B区分が30枚程度であれば、1件5分で対応しても2時間半で終わる計算になり、個別対応の手間は現実的な範囲に収まります。
逆に全件を個別対応しようとすると時間が足りず、結局すべてが定型文になります。
区分を付ける目的は、限られた時間をどこに使うかを決めることにあります。
スキャンのタイミング
名刺のデータ化は、会期中に毎日その日のぶんを済ませるのが理想です。
スマートフォンのアプリを使えば数分で終わるので、1日の終わりに時間を取ってください。
会期が終わってからまとめてスキャンしようとすると、作業量の多さで数日かかり、その間に初動のタイミングを逃します。
スキャンのときに3段階の区分と会話のメモもデータに入れておけば、会期後の振り分け作業がそのまま不要になります。
アプリによっては写真を撮るだけで会社名と氏名が自動で入るため、手で入力するのは区分とメモだけで済むでしょう。
会期後48時間の動き方
名刺交換の成果が商談に変わるかどうかは、会期が終わってからの最初の2日間で決まります。

お礼メールは当日か翌日
来場のお礼のメールは、記憶が残っているうちに会期当日の夜か翌日までに送ります。
この時点であれば、相手の記憶にもまだ展示会の光景が残っているはずです。
1週間後になると、他社のメールに埋もれるうえ「どこの会社だったか」から思い出してもらう必要が出ます。
送る内容には、お礼とあわせて次のアクションを1つだけ入れてください。
資料のダウンロード先、オンライン商談の候補日、来社の案内など、相手がその場で判断して押せるものを1つに絞ります。
選択肢を複数並べると判断を保留されてしまうので、送る相手の区分ごとに出すものを変えるほうが反応は取れるでしょう。
温度の高い相手から電話する
A区分に分けた相手には、メールと並行して電話をかけてアポイントを打診します。
展示会の翌営業日から3日以内が目安です。
このタイミングであれば「先日はありがとうございました」から入れるため、電話の心理的な障壁が低くなります。
つながらなかった場合も、かけた日時を記録して1週間後に再度かけます。
展示会の直後は相手も社内報告や溜まった業務に追われているため、1回で捕まらないのが普通だと考えておいてください。
定型文だけにしない
A・B区分には、名刺の裏に書いた一言を本文に入れます。
「移転のご予定が来年3月とのことでしたので」のように、会話の内容を1行入れるだけで反応が変わります。
C区分は一斉配信で構いませんが、件名に展示会名と自社のブース番号を入れて、どこで会った相手かを思い出してもらえるようにします。
本文の冒頭にブースの写真を1枚入れておくと、文字だけのメールより記憶と結びつきやすくなります。
写真は会期初日の朝、来場者が入る前に撮っておくと、人が写り込まないきれいな1枚が手に入ります。
すぐに動けない相手の扱い
B区分の相手には、検討の時期が来たときに思い出してもらうための仕組みが要ります。
定期的な情報配信のリストに入れ、半年後にもう一度接触するのが現実的です。
展示会で接点を持った相手は、後から案件化することがあります。
1回のフォローで反応がないからといってリストから外すと、半年後や1年後に動き出すはずだった案件を落とすことになります。
展示会で接点を持った相手は、次の展示会の案内を送る先としても価値があります。
翌年の同じ展示会に案内を出せば、ブースを目指して来てもらえる可能性があり、初日から商談を組むこともできます。
名刺交換が増えるブースの作り方
ここまでは運営の話でしたが、名刺交換の回数はブースの作りにも左右されます。
そもそもブースの前を通る人を増やし、立ち寄ってもらうところまでの考え方は「展示会の集客ノウハウ|立寄率を上げる設計と施策」で整理しています。

立ち止まれる場所があるか
会話が始まるには、来場者が足を止めて立っていられるスペースがブースの中に必要です。
1小間の奥行は3,000mm程度で、カウンターや展示台で1,500mmを使うと、残りは1,500mmしかありません。
ここに人が入って立ち止まれるかどうかで、声をかけられる回数が変わります。
展示物を増やすほど滞留スペースが減るという関係にあるため、どちらを優先するかは設計の段階で決めておく必要があります。
人が3人並ぶには奥行1,500mm程度、1人が立ち止まるだけなら500mm程度を見ておくと、必要なスペースを図面上で確保できます。
展示物を減らしたくない場合は、小間数を増やすか、通路に面した幅を広く取れる角小間を狙うという判断になります。
小間のサイズと配置の考え方は「展示ブースとは?種類・小間サイズと出展の進め方」で解説しています。
スタッフが立つ位置
スタッフが通路に出て待ち構えると、来場者は避けて通ります。
小間の内側、通路から1歩入った位置に立つのが基本です。
この位置に立っていれば、入ってきた来場者の斜め後ろへ自然に回り込めます。
逆に、全員がブースの奥で待っていると、入ってきた人に声をかけるまでに距離ができます。
立つ位置を事前に決めていないと、スタッフ同士が話しやすい場所に自然と固まり、入口側が無人になる現象が起きます。
人数ぶんの立ち位置を図面に印を付けておくと、交代のときも迷いません。
休憩で人数が減る時間帯の立ち位置も、あわせて決めておいてください。
カウンターの高さと向き
カウンターは、名刺交換と会話の起点になるブースの中で最も重要な部品です。
高さは1,000mm前後にすると、立ったまま書類を見たり名刺を置いたりしやすくなります。
向きは、通路と平行ではなく斜めか、通路に対して直角にすると、来場者とスタッフが横に並べます。
正面で向かい合う配置は、座って話す商談には向いていますが、立ったまま声をかける段階では物理的な壁になります。
長さは、同時に接客したい人数に合わせます。2人同時なら1,800mm程度、3人なら2,700mm程度が目安です。
カウンターを長く取りすぎると滞留スペースを圧迫するので、接客したい人数から逆算してください。
名刺を書ける場所をつくる
会期中には、来場者がその場で情報を書き込む場面が必ず出てきます。
名刺を切らしている来場者への対応や、アンケートへの記入です。
書くための平面と、ペンを置く場所をカウンターの一部に確保しておきます。
タブレットで入力してもらう場合も、置き場所と電源の経路を設計に入れておく必要があります。
電源は主催者への申込が必要で、締切は会期の約2か月前に来るため、タブレットを使うかどうかは早い段階で決めておくことになります。
電力の申込については「展示会動画の作り方|尺・費用相場とブース設計の要点」でまとめています。
ブース内の配置については「展示会ブースレイアウト完全ガイド|集客のコツと事例」でまとめています。
よくある失敗

枚数だけを追ってしまう
枚数だけを目標に置いてしまうのは、現場でもっとも多く見られる失敗です。
目標が枚数だけだと、スタッフは交換しやすい相手に流れます。
枚数と一緒に、A区分の件数を目標に入れると、現場が「誰と話すか」を意識するようになります。
「150枚かつA区分20件」という置き方にすると、断られにくい相手ばかりを狙う動きが自然に減ります。

会話の内容を覚えていない
記録を取らないまま会期を終えると、150枚の名刺がすべて同じ束になってしまいます。
結果として全員に同じ定型文を送ることになり、開封率も返信率も大きく落ち込みます。
名刺の裏に一言書く作業は10秒で終わるので、初日の朝礼で手順を共有してスタッフ全員の習慣にしておきます。
書く内容を「課題・時期・決裁者」の3つに限定しておくと、何を書くか迷う時間もなくなります。

フォローが1週間後になる
会期後は社内の通常業務が溜まっているため、フォローが後回しになりがちです。
会期の翌営業日はフォロー作業に充てると決めて、出展が決まった時点でスケジュールを押さえておきます。
展示会は社内では「終わったら一段落」と受け取られがちですが、成果が決まるのはむしろここからです。
スキャンと区分けを会期中に済ませておけば、翌営業日の朝からメールを出し始められます。
フォローの担当者を会期前に決めておき、その人の予定を会期翌日から2日間空けておくのが確実な進め方です。
スタッフによって獲得数が極端に違う
同じブースでも、スタッフによって獲得数が数倍違うことがあります。
獲得数の差が出る原因は、多くの場合その人の性格ではなく立つ位置と声をかけるタイミングにあります。
初日の終わりに獲得数を共有し、多かった人の立ち位置と言い回しを翌日に全員で真似します。
立ち位置と言い回しは会期中に修正できる数少ない項目なので、初日の終わりの振り返りは必ず行ってください。
獲得数の少なかったスタッフを責める場ではなく、うまくいった人の動きを全員で共有する場として設計すると、2日目以降の伸びが変わります。
社内に名刺を渡したきり追えなくなる
獲得した名刺を営業部門へ渡したあと、誰がいつ連絡したのかが追えなくなるケースも多く見られます。
出展した部門と営業部門が分かれている企業であれば、渡す前に区分とメモをデータ化しておくのが前提でしょう。
誰が担当するかを会期前に決めておけば、部門をまたぐ引き継ぎで止まる時間をなくせます。
名刺を渡す際にA・B・Cの区分と会話のメモを添えておけば、受け取った側もどこから手を付けるべきか判断できます。
よくある質問

名刺交換は何枚を目標にすればよいですか
他社の数字ではなく、自社の受注目標から逆算して決めてください。
受注目標を受注率で割って商談数を出し、それをさらに商談化率で割れば必要な枚数が求められます。
他社の平均値や前年の枚数をそのまま目標にしないでください。ブースの広さもスタッフ数も違えば、達成できる数字が変わります。
名刺が足りなくなったらどうすればよいですか
会場内で増刷するのは現実的ではないため、目標枚数の1.5倍を持ち込むのが前提になります。
名刺は会期中に補充できないという意味では、搬入物のなかでもっとも代替が利かない備品です。
不足した場合は、その場でアンケートやフォームに記入してもらう代替手段に切り替えます。
ノベルティは名刺交換に効果がありますか
受け取ってもらった直後は会話が始めやすくなるため、きっかけとしては機能します。
ただし、ノベルティ目当ての来場者が増えるとC区分ばかりが増えることになります。
配る相手を絞る、名刺交換と引き換えにするといった運用を事前に決めておけば、枚数を伸ばしながら質も保てます。
置き場所を通路から見える位置にするか、カウンターの内側にするかでも、受け取りに来る層が変わります。
スタッフは何人必要ですか
目標枚数を会期日数と1人あたりの現実的な枚数で割って求めます。
1人1日10〜15枚が、会話をしながら達成できる現実的な範囲です。
商談席を設ける場合は、接客担当とは別に商談対応の人員が要るため、その分を上乗せします。
会期中に目標を下回っていたらどうすればよいですか
初日の終わりに達成率を確認し、下回っていれば原因を立ち位置・声かけ・導線のどれかに切り分けます。
通路から人が入ってこないのであれば導線や看板の問題、入ってくるのに会話が始まらないのであれば立ち位置の問題です。
会期中に変えられるのは立ち位置と声のかけ方だけなので、まずそこから手を付けます。
名刺の記録は誰が管理すればよいですか
会期中はスタッフ各自が記録し、1日の終わりに1人がまとめてデータ化する形が回しやすい方法です。
管理者を決めずに全員がそれぞれ入力すると、同じ名刺が重複して登録されたり、記録そのものが漏れたりします。
他社のブースを見て回る時間は取るべきですか
会期中に同じ業界のブースを回ると、相手がどんな言葉で訴求しているかを直接確認できます。
翌年の看板やパネルの文言を考える材料になるので、スタッフの休憩時間と兼ねて1人ずつ回る運用にしておくと無理なく実行できます。
自社のブースを通路側から眺めてみるだけでも、来場者から見えている情報が想定と違っていることに気づけます。
名刺交換が生まれるブース設計はスリービーへ
名刺交換の回数は、運営の工夫だけでは上限があります。
立ち止まれる場所、スタッフの立ち位置、カウンターの高さと向き、書くための平面。
これらはすべて、ブースの図面を引く段階で決まってしまう項目です。


運営を前提にした設計ができます
スリービーは展示会ブースのデザインから施工までを一貫して手がけています。
名刺交換を増やすという観点では、次の項目を図面の段階でご一緒に決めていきます。
- 展示物と滞留スペースの配分
- スタッフが立つ位置と、来場者の斜め後ろに回り込める動線
- カウンターの高さ・向き・長さ
- 名刺やアンケートを書くための平面とペンの置き場所
- タブレットを置く場合の位置と電源の経路
- 商談席を設けるかどうかと、設けた場合の展示スペースへの影響
はじめて出展する場合は、目標枚数から逆算して何人で回せばよいのかも含めてご相談いただけます。
出展する展示会名と小間数、そして扱っている商材が分かれば、その枚数を交換できる広さと配置になっているかを図面の段階で確認できます。
すでに図面がある状態でのご相談でも、滞留スペースとカウンターの位置に見直しの余地がないかをお伝えします。
あわせて、前回の出展で名刺の獲得数が目標に届かなかった場合は、その原因がブースの作りにあるのか運営にあるのかを図面と照らして切り分けます。
展示物の量を減らさずに滞留スペースを確保する方法は、什器の形や配置を変えることで見つかる場合があります。
たとえば四方から囲める島型の展示台を壁付けに変えるだけでも、人が立てる面積は広がるでしょう。
図面を見ながら「どこに何人立てるか」を数えていくと、目標枚数に対して無理のある設計になっていないかがその場で判断できます。
スタッフの人数と展示物の量、そして狙う名刺の枚数は互いに影響し合うため、どれか1つだけを後から変えることはできません。
2〜8小間を中心に、30小間以上の大型ブースまで対応しており、東京ビッグサイトや幕張メッセ、インテックス大阪など全国の会場で施工しています。
「他社に断られた案件、お任せください」という考え方で、納期や条件の厳しい案件についても一緒に解決策を探しています。
ブースの設計からご相談したい方は、下記のフォームからお問い合わせください。
まとめ

最後に、記事の内容を振り返っておきましょう。
- 名刺の枚数と商談数は比例しない。枚数は商談化率とセットで見る
- 目標枚数は受注目標 ÷ 受注率 ÷ 商談化率で逆算し、1日あたり・1人あたりまで割る
- 声をかけるのは立ち止まった瞬間ではなく、視線が特定の展示物で止まった瞬間
- 正面からではなく斜め後ろか横から、同じ方向を向いて立つ
- 「資料はありますか」「詳しく聞きたい」「◯◯に対応できますか」が名刺交換の合図
- 交換したらその場でA・B・Cの3段階に分け、会話の内容を一言だけ書く
- スキャンは会期中に毎日済ませる。まとめてやると初動が遅れる
- お礼メールは当日か翌日、A区分には翌営業日から3日以内に電話する
- 名刺交換の回数はブースの作りにも左右される。滞留スペース・立ち位置・カウンターの高さと向き
名刺交換は、運営の努力だけで伸ばせる部分と、ブースの作りで決まってしまう部分があります。
スタッフの立ち位置を変えるだけで獲得数が倍になることもあれば、滞留スペースがなくて会話自体が始まらないこともあります。
目標枚数を逆算したら、その枚数を交換できるブースになっているかを図面の段階で確認してください。
そのうえで記録と初動を徹底すれば、持ち帰った名刺は商談に変わっていきます。
枚数という数字だけを追いかけるのをやめて、交換した相手が誰で何に困っていたかを残すところから始めてみてください。
