展示会の看板は、デザインを考えるところから始めると高い確率で失敗します。
先に決めるべきなのは、どこに立っている人へ、何メートル先から見せるのかです。
ここが決まらないまま作ると、近くまで来ないと読めない看板や、壁の色に溶けて気づかれない看板ができあがります。
同じ予算をかけても、社名板にするか吊り看板にするかバナースタンドにするかで、届く距離はまったく違います。
さらに見落としやすいのが、吊り看板は主催者への申請が必要な展示会があるという点です。
申込の締切を過ぎれば、どれだけ良いデザインでも選択肢から消えます。
この記事では、看板の種類ごとに届く距離と使いどころを整理し、設置位置の決め方、文字の大きさの逆算、そして申請と締切までを通してまとめました。

展示会の看板は「届かせたい距離」で選ぶ
看板選びは、デザインでも予算でもなく距離から入ります。
通路の反対側から見せたいのか、ブースの前まで来た人に見せたいのかで、必要な大きさも置く場所も変わるからです。

通路の奥から見せる看板と、ブース前で見せる看板
展示会場の主通路は幅が広く、反対側からブースを見ると10m前後の距離になることがあります。
この距離で読ませたいなら、天井から吊るすか、ブースの上部に大きく掲げるしかありません。
床に置いたスタンド看板は、来場者が前に立った時点で隠れてしまうため、遠距離の訴求としては機能しません。
展示会は会期中ずっと通路に人が流れている状態なので、人の身長より低い位置にある情報は、遠くからは無いものと考えたほうが確実です。
逆に、ブースの前まで来た人に製品の特徴を伝えるなら、視線の高さに置いたパネルやスタンド看板のほうが読みやすくなります。
1枚ですべてを兼ねようとすると、遠くからは文字が小さすぎ、近くでは情報が足りないという中途半端な看板になります。
遠距離用と近距離用を分けて考え、それぞれに載せる情報量を変えるのが看板計画の基本です。
読ませたい文字の高さから逆算する
看板のサイズは、載せたい文字の高さから決まります。
デジタルサイネージの分野では、デジタルサイネージ呉が「文字の縦サイズ(cm)=画面までの距離(cm)÷250」という目安を示しています。
これは視認距離1mにつき文字の高さ約4mmという計算です。
ただし展示会場は明るく人も多いので、確実に読ませるなら視認距離1mあたり10mmを見ておくと安全側に寄せられます。
| 読ませたい距離 | 必要な文字の高さの目安 |
|---|---|
| 2m | 20mm以上 |
| 3m | 30mm以上 |
| 5m | 50mm以上 |
| 10m | 100mm以上 |
通路の反対側(10m)から社名を読ませたいなら、文字の高さは100mm必要です。
A4の紙に印刷した見出し文字はせいぜい20〜30mm程度なので、この表に当てはめると届くのは2〜3mまでということになります。
展示会で「とりあえずA4のポスターを貼っておく」という対応がほとんど効かないのは、この計算が理由です。
看板とパネルは役割が違う
実務では混同されがちですが、看板とパネルは担当する距離が違います。
看板は遠くから気づかせるためのもので、載せる情報は社名と「何屋か」だけです。
パネルは立ち止まった人に説明するためのもので、製品の特徴や導入事例といった中身を載せます。
この2つを同じ感覚で作ると、看板に製品の仕様や導入事例まで詰め込むことになり、結果としてどの距離からも読めない掲示物ができあがります。
役割を分けておけば、看板は大きな文字を3つだけ、パネルは読ませる前提で情報量を増やす、という作り分けが自然にできます。
パネルのデザインそのものについては「展示会パネルのデザインコツ!効果的な作り方と集客ポイント」で詳しく解説しています。
展示会で使う看板の種類
展示会で使われる看板は、設置の仕方で大きく6種類に分かれます。
それぞれ届く距離と持ち運びやすさが違うので、組み合わせて使うのが前提になります。

社名板
小間の上部に取り付ける、社名を表示する板です。
基礎小間では主催者が用意することが多く、位置とサイズも指定されています。
寸法が決まっている展示会では自分で選べる余地が小さい代わりに、申込をすれば必ず設置されるため、確実に社名を出せる場所になります。
2小間以上で出展しても社名板は1枚だけという展示会があるので、複数小間のどの位置に付けるかは早めに確認しておいてください。
社名板に載せられるのは社名だけなので、業種や商材を伝える役割は別の看板に持たせることになります。
吊り看板(天吊りサイン)
天井から吊り下げて使う看板で、展示会の看板のなかでもっとも遠くまで届きます。
人の背よりはるかに高い位置に出るため、来場者が多くて視界が遮られる状況でも見えます。
ただし後述するとおり、主催者の許可が必要な展示会があり、小間数の条件が付くこともあります。
費用も他の種類より高く、吊り込みの作業と安全確認が必要になるため設営にも時間がかかります。
採用するなら、デザインより先に「そもそも吊れるのか」を主催者に確認するところから始めてください。
バナースタンド
床に置いて縦長の印刷物を掲げるタイプで、軽くて持ち運びやすいのが特徴です。
展示会では使用頻度がもっとも高く、1本から追加できるため、小間の広さや通路に面する幅に合わせて本数を調整しやすい看板です。
一般的なサイズは高さ1,600〜2,000mm、幅600〜1,200mm程度で、ブースの壁の前に並べても圧迫感が出にくい大きさです。
ロールアップ式
本体に印刷物を巻き取って収納するタイプです。
設営と撤去が早く、本体を残して印刷面だけ差し替えられる製品もあります。
印刷面だけを差し替えられる製品であれば、翌年は印刷代だけで済むため、次回も使う前提なら差し替えの可否が実質的な費用を大きく変えます。
Xバナー式
背面のX字型フレームに印刷物を張るタイプで、ロールアップ式より軽量です。
価格を抑えやすい一方、フレームが見えるため見た目はやや簡易になります。
短期間だけ使う場合や、万一の破損に備えて予備として持っていく場合に向いた選択肢になります。
バックパネル
ブースの背面を覆う大型の看板で、記者会見の背景に使われるものと同じ構造です。
表示面が大きいため、社名やロゴを大きく出せます。
ブースの壁そのものを看板として使う形になるので、壁面パネルとの境界は曖昧です。
1小間では通路から見える面が正面1面しかなく、その背面がそのままブースの顔になるため、ここの作り込みが全体の印象を大きく左右します。
逆に4小間以上で複数面が開放される場合は、背面だけを作り込んでも通路側から見えないことがあるので、面ごとに役割を振り分ける必要があります。
スタンド看板・A型看板
床に置く自立式の看板で、通路側に向けて設置します。
人が立つと隠れるため、遠距離用には向きません。
ブースの入口付近に置いて、立ち止まった人へ案内や注意書きを伝える使い方が中心です。
通路にはみ出すと主催者から移動の指導が入るうえ、来場者の動線を塞いで苦情につながるため、必ず小間の内側に収めて設置してください。
デジタルサイネージ
モニターを看板として使う方法です。
静止画の看板より情報量を増やせるうえ、複数の内容を切り替えて表示できるため、1台で複数の看板の役割を兼ねられます。
ただし電源が必要で、使える電力には上限があります。
モニターの設置と電力の考え方は「展示会動画の作り方|尺・費用相場とブース設計の要点」でまとめています。
種類ごとの比較表
どれを選ぶかは、届かせたい距離と予算、そして次回も使うかどうかで決まります。

同じ「看板」でも届く距離は数倍違うため、カタログの見た目ではなく役割で並べて比べてください。
届く距離・設置場所・持ち運びやすさで比べる
| 種類 | 届く距離の目安 | 設置場所 | 持ち運び | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|
| 吊り看板 | 10m以上 | 天井から吊る | 設営が必要 | 遠くから小間を見つけさせる |
| 社名板 | 5〜10m | 小間の上部 | 主催者が設置 | 社名を確実に出す |
| バックパネル | 5〜10m | ブース背面 | 搬入が必要 | 社名・ロゴを大きく見せる |
| バナースタンド | 3〜5m | 通路側・ブース内 | 軽く持ち運べる | 商材を伝える・追加しやすい |
| スタンド看板 | 1〜3m | ブース入口付近 | 軽く持ち運べる | 案内・注意書き |
| デジタルサイネージ | 3〜5m | 壁面・スタンド | 電源が必要 | 情報を切り替えて見せる |
遠距離用を1つ、近距離用を複数という組み合わせが、1小間から数小間までの基本形になります。
1小間であれば社名板(主催者設置)+バナースタンド1〜2本、2〜4小間であればここにバックパネルか吊り看板を足す、という積み上げ方が現実的です。
費用を抑えたい場合は、遠距離用を主催者が設置する社名板だけで済ませ、浮いた分を近距離用のバナースタンドの枚数に回すという判断もあります。
反対に、同じ業種のブースが並ぶ展示会では遠距離で差が付きにくいため、吊り看板に予算を寄せて物理的に高い位置を取るほうが効くこともあります。
自社のブースがどんな並びに置かれるかは会場図で事前に分かるので、周囲の出展社の顔ぶれを見てから配分を決めると無駄がありません。
搬入と保管のしやすさで選ぶ
意外に判断を分けるのが、会期が終わったあとの扱いです。
バナースタンドは専用のケースに収まって1本あたり数キロ程度なので、社用車で持ち帰って社内に保管できます。
一方でバックパネルや大型の造作看板は、分解しても相応の容積になるため、保管場所を確保できなければ会期ごとに処分することになります。
保管できないものを買うと、結果的に毎回作り直すことになるので、購入の前に置き場所を決めておいてください。
会期後に施工会社へ保管を預けられる場合もあるため、見積の段階で保管費の有無を聞いておくと判断材料が増えます。
使い回せるかどうかで選ぶ
同じ看板でも、次回も使えるかどうかで実質的な費用が変わります。
使い回しやすいのは、印刷面だけ差し替えられるバナースタンドと、本体を残せるスタンド看板です。
反対に、展示会名や開催年を入れた看板は、その回しか使えません。
社名と商材だけに絞っておけば、翌年もそのまま持ち込めます。
出展のたびに一式を作り直している場合は、どの情報が毎回変わるのかを洗い出して面を分けるだけで、翌年以降の費用が下がります。
キャンペーンや新製品の情報は差し替え用の小さな面に逃がし、社名と商材を載せた大きい面は据え置くのが基本の設計です。
看板に載せる情報は3つまで
看板で最も多い失敗が、情報の入れすぎです。

遠くから読ませるのは社名ではなく「何屋か」
来場者が通路を歩きながら判断しているのは、そのブースが自分に関係あるかどうかです。
社名だけを大きく出しても、知らない会社であれば判断材料になりません。
優先して出すべきなのは、取り扱っている商材や解決できる課題です。
「◯◯の設計・製造」「◯◯でお困りの方へ」といった一文のほうが、社名より先に足を止めさせます。
社名は、立ち止まった人が確認できる位置にあれば足りるため、社名板やバナースタンドの下部に小さく入れておけば用は足ります。
すでに業界で名前が通っている企業であれば順番は逆になりますが、新規開拓を目的とした出展では商材の言葉を優先するほうが足を止めやすくなります。
文字数の上限
遠くから読ませる看板に載せる文字は、20文字前後が上限です。
これを超えると、歩きながら読み切れません。
載せる内容は次の3つまでに絞ります。
- 何を扱っている会社か(最優先)
- 社名
- 来場者が取る行動(デモ実施中、資料配布中 など)
4つ目を足したくなったら、それは看板ではなくパネルに書く内容だと切り分けてください。
社内の確認を通すと「この実績も入れたい」「この認証も載せたい」と要素が増えがちですが、増やした分だけ1つあたりの文字が小さくなり、結局どれも読まれなくなります。
色のコントラストを優先する
読めるかどうかは、文字の大きさと同じくらい背景との明度差で決まります。
白地に黒、濃紺地に白のように、明るさの差が大きい組み合わせを選びます。
会場の照明は400〜500ルクス程度と明るいため、淡い色どうしの組み合わせは輪郭が飛びます。
ブランドカラーが淡い場合は、看板の背景全面に使うのではなく縁取りや帯として部分的に使えば、ブランドの印象を保ったまま読みやすさを確保できます。
実際の見え方は印刷してみないと分からないため、本番と同じ用紙で小さく試し刷りをして、照明の下で確認する工程を入れておくと失敗を防げます。
ロゴを大きくしても伝わらない理由
ロゴは図形であり、意味が伝わるのは相手がその会社を知っている場合だけです。
認知のある企業であればロゴが最短の合図になりますが、そうでなければ面積の無駄になります。
初出展や新規開拓を目的にしているなら、ロゴを大きくするより商材を表す言葉を大きくするほうが、通路からの反応は明らかに変わります。
ロゴは立ち止まった人が社名を確認するときに効くので、近距離用の看板やパネルの隅に置いておけば役割を果たします。
設置位置で効き方が変わる

同じ看板でも、置く高さと向きで読まれる量が変わります。
視線の高さは1,400〜1,800mm
立っている人の視線は、おおむね床から1,400〜1,800mmの範囲に入ります。
近距離で読ませる看板やパネルは、この高さに情報の中心が来るように設置します。
床に近い位置や、2,000mmを超える高さは、近くに立った人からは読みにくくなります。
一方で遠距離用の看板は、人の頭より上に出す必要があるため、あえて高い位置に掲げます。
近距離用は視線の高さに、遠距離用は視線より上にと、距離によって最適な高さが逆になる点が看板計画で混乱しやすいところです。
図面上では「全部まとめて壁面に貼る」と整って見えますが、実際の会場では高さを散らしたほうが遠近どちらからも読まれます。
通路側・正面・足元の使い分け
設置位置は、来場者が近づいてくる順番で考えます。
- 遠く(通路の反対側)… 吊り看板・社名板
- 中距離(通路を歩きながら)… バナースタンド・バックパネル
- 近く(ブースの前)… スタンド看板・パネル
この3段階で情報を渡していくと、歩いている人が自然にブースへ入ってきます。
すべてを同じ高さ・同じ面に固めると、遠くからは文字の塊にしか見えません。
来場者が近づくにつれて読める情報が増えていく構成にしておくと、立ち止まるきっかけが自然に生まれます。
角小間と中小間で置ける位置が変わる
小間の位置によって、開放される面の数が変わります。
通路に面した側は壁が立たないため、そこに看板を置く計画は成立しません。
角小間であれば2面が開放されるので、通路側に向けた看板を2方向に出せます。
逆に中小間では正面の1面しか使えないため、その1面に遠距離用と近距離用を配置することになります。
小間の位置は主催者から連絡があるまで確定しないため、看板の「種類と枚数」は先に決め、「どの面に置くか」は小間位置の連絡後に固めるという二段構えで進めるのが安全です。
印刷の入稿から納品までには日数がかかるため、配置が決まってから発注していては会期に間に合わない場合があります。
種類と枚数さえ決まっていれば、印刷のスケジュールは先に押さえられるので、小間位置の連絡を待つ間も作業は止まりません。
小間の種類と開放面については「展示ブースとは?種類・小間サイズと出展の進め方」で解説しています。
看板で足を止めてもらったあと、立寄率をどう上げていくかは「展示会の集客ノウハウ|立寄率を上げる設計と施策」にまとめています。
吊り看板は申請と締切がある
もっとも効果の大きい吊り看板には、手続きの壁があります。

主催者の許可が必要な展示会がある
吊り看板は天井の構造物を使うため、どの展示会でも自由に設置できるわけではありません。
主催者が許可制にしている展示会があり、小間数が一定以上でなければ認めない場合もあります。
出展要項に吊り看板や天吊りに関する項目があるかを、まず確認してください。
出展要項に該当の項目が見当たらない場合は、できないと判断せず事務局に直接問い合わせたほうが確実です。
展示会によっては「4小間以上」「島小間のみ」といった条件付きで認められることがあり、条件を満たすために小間数を1つ増やす判断が成立することもあります。
高さ制限の確認
吊り看板を認めている展示会でも、下端の高さや上端の高さに制限が設けられていることがあります。
基礎小間の壁の高さは2,700mm前後が基準で、それを超える造作は別途の確認が必要になります。
隣接する小間への影響を理由に、高さや向き、面の数に条件が付くこともあります。
たとえば背面側だけ高さを抑える、通路に面した2面のみ表示を認める、といった制限が出展要項に書かれている場合があるので、デザインを起こす前に確認してください。
申込の締切は会期の約2か月前
主催者への各種申込は、会期の2か月前後が締切になるのが一般的です。
2024年9月に東京ビッグサイトで開催された展示会の出展マニュアルでは、電気工事と電気備品の届出書の提出期限が8月2日に設定されていました。
吊り看板も同じ時期に申込が必要になることが多く、デザインが固まっていなくても設置の可否と寸法だけは先に出す必要があります。
この日程から逆算すると、看板の計画は会期の3か月前には動き出しているのが現実的な線になります。
申込の時点で求められるのは、吊り看板の有無・寸法・吊り位置といった物理的な情報だけで、デザインの中身は後から詰められます。
逆に言えば、デザインが決まっていないことを理由に申込を先送りすると、設置そのものができなくなってしまいます。
迷っている段階では「設置する前提で申し込んでおき、不要になったら取り下げる」ほうが、選択肢を残せます。
取り下げの可否と期限も出展要項に書かれているので、申込の前に確認しておいてください。
看板でよくある失敗

現場で繰り返し起きている失敗を4つまとめます。
近くでしか読めない
もっとも多い失敗です。
パソコンの画面でデザインを確認すると、文字は十分な大きさに見えます。
しかし実寸で印刷して5m離れると、ほとんど読めないことがあります。
回避策は、デザインの途中で一度A4に縮小印刷して、腕を伸ばした距離から見ることです。
A4に縮小した状態で腕を伸ばした距離から読めなければ、実寸を5m離れて見ても読めないと考えて差し支えありません。
社内で確認するときも、モニターに等倍で表示して全員で覗き込む形ではなく、印刷して離れて見る手順に変えるだけで判断の精度が上がります。
壁の色と同化している
2つ目は配色の失敗です。
ブースの壁を白で作り、看板の背景も白にすると、輪郭が消えて看板の存在が分かりません。
隣のブースの色とぶつかる場合もあります。
看板の色は、ブースの壁の色と床のカーペットの色が決まってから確定させるのが正しい順番です。
基礎小間ではカーペットの色を選べない展示会があり、支給される色が青や緑の場合はそれが背景として効いてきます。
隣のブースの色は事前に分からないので、どの色が隣に来ても沈まないよう、明度差の大きい配色にしておくのが安全策になります。
会期ごとに作り直している
3つ目は、費用面で損をし続けるパターンです。
展示会名や年号、期間限定のキャンペーンを看板に入れると、その回しか使えません。
社名と商材だけに絞った看板を1つ作っておき、毎回変わる情報は差し替えられる別の面に逃がしておくと、翌年以降もそのまま持ち込めます。
差し替え用の面は小さくてよく、バナースタンド1本やA4サイズの掲示で足りることがほとんどです。
搬入できないサイズで作ってしまう
4つ目は、当日まで気づきにくい失敗です。
大型の看板は、会場への搬入経路と車両に制限があります。
分割できない一枚ものにすると、エレベーターや搬入口を通らないことがあります。
設計の段階で分割の有無と1枚あたりの寸法を決めておくと、現場で入らないという事態を避けられます。
分割すると継ぎ目が出るので、文字やロゴが継ぎ目にかからない割り方にしておく配慮も必要です。
搬入口の寸法や使える車両は出展要項に記載があるため、大型の看板を検討する段階で目を通しておいてください。
よくある質問

看板は何枚くらい必要ですか
1小間であれば、遠距離用に1つ、近距離用に1〜2つが目安です。
小間数が増えると通路に面する幅が広がるため、バナースタンドを追加して間隔を埋めていきます。
枚数そのものより、遠距離・中距離・近距離の3段階に役割が揃っているかを先に確認してください。
同じ3枚でも、すべてが近距離用であれば通路からは気づかれず、3段階に分かれていれば歩いている人を引き込めます。
レンタルと購入のどちらがよいですか
年に1回の出展であれば、本体をレンタルして印刷面だけ作る方法が費用を抑えやすくなります。
年に複数回出るのであれば、本体を購入して印刷面だけを差し替えていくほうが、2回目以降の費用が印刷代だけで済むため安くなることが多くなります。
保管場所が確保できるかどうかも判断材料になるので、倉庫費用まで含めて比べてください。
なお補助金や助成金を使う場合、購入は対象外でリースが対象という制度があります。
制度の条件は「展示会の補助金・助成金2026|対象経費と申請期限」で解説しています。
看板のデザインだけ頼めますか
デザインのみの発注も可能ですが、印刷や施工と分けて契約すると、助成金の対象外になる場合があります。
東京都の助成事業では、デザインなど素材の制作のみの契約は対象外と明記されているため、制度を使う予定があるならデザインから印刷までを1つの契約にまとめるほうが確実です。
当日に看板を追加できますか
会場内で急に追加するのは現実的ではありません。
搬入できる物量と搬入の時間帯も決まっているため、予備を持ち込むなら事前に計画へ入れておく必要があります。
当日に起きやすいのは破損よりも「思ったより読めない」という気づきなので、現地で調整できる余地(高さ・向き・照明の角度)を残しておくほうが実務的です。
他社と看板が似てしまったときはどうすればよいですか
同じ業界の展示会では、使われる色も言葉も似通うため、並んでみて初めて埋もれていると気づくことがあります。
その場で変えられるのは配置と照明なので、看板の位置を通路側へ出す、スポットライトを当てて明度差をつけるといった対応で差を作ります。
次回に向けては、色よりも書いてある言葉で差を付けるほうが確実です。
他社が製品の機能を並べているなら、こちらは用途や解決できる課題を書く、という切り替えが効きます。
言葉の重複は会期中に同じ業界のブースを回れば把握できるので、その場でメモして次回の看板に反映するのがもっとも実用的な改善方法になります。
展示会の看板はブース設計とあわせて相談できます
ここまで見てきたとおり、看板は単体で決まるものではありません。
小間の位置、壁の色と高さ、照明の当たり方、そして主催者への申請。
これらが揃って初めて、種類とサイズと置き場所が決まります。

ブースと一緒に決められること
スリービーは展示会ブースのデザインから施工までを一貫して手がけています。
看板についても、次の項目をブースの図面と同時に決められます。
- 遠距離用と近距離用の役割分担と、それぞれの設置位置
- 壁の色とぶつからない配色
- 読ませたい距離から逆算した文字の高さ
- 吊り看板の可否と、主催者への申請に必要な寸法
- 搬入経路に収まる分割の仕方
- 次回も使い回せる作りにするかどうか
とくに吊り看板は、主催者の許可条件と高さ制限を確認したうえで寸法を決める必要があるため、申込の締切から逆算してスケジュールを引くところまでご一緒します。
2〜8小間を中心に、30小間以上の大型ブースまで対応しており、東京ビッグサイトや幕張メッセ、インテックス大阪など全国の会場で施工しています。
「他社に断られた案件、お任せください」という考え方で、納期や条件の厳しい案件についても一緒に解決策を探しています。
はじめて出展する場合は、そもそもどの種類が必要かを判断する材料がないと思います。
その段階でも、出展する展示会名と小間数、そして扱っている商材が分かれば、必要な看板の構成と、申込に間に合う日程をお出しできます。
すでに看板のデータをお持ちであれば、そのまま使えるか、読める距離が足りているかを確認するところからでも構いません。
前回の出展で使った看板がある場合は、どれを流用してどれを作り直すかを仕分けるだけでも費用が変わります。
看板だけの相談でも構いません
ブースの施工をご依頼いただかなくても、看板の構成や寸法についてのご相談だけでも対応しています。
すでに他社でブースを作ることが決まっている場合でも、吊り看板の可否や申込の締切は共通の確認事項なので、時期だけでも押さえておくと手戻りがありません。
展示会の規定は会場ではなく主催者ごとに決まるため、同じ東京ビッグサイトでも展示会が違えば条件が変わります。
出展する展示会名が分かれば、過去の規定から見当を付けてお伝えできます。
看板とブースをまとめて相談したい方は、下記のフォームからお問い合わせください。
まとめ

最後に、記事の内容を振り返っておきましょう。
- 看板は届かせたい距離から種類とサイズが決まる。デザインから入らない
- 必要な文字の高さは視認距離1mあたり10mmが目安。10m先なら100mm必要
- 看板は「遠くから気づかせる」もの、パネルは「立ち止まった人に説明する」もので役割が違う
- 種類は社名板・吊り看板・バナースタンド・バックパネル・スタンド看板・デジタルサイネージの6つ
- 遠距離用を1つ、近距離用を複数組み合わせるのが基本形
- 載せる情報は3つまで。最優先は社名ではなく何を扱っている会社か
- 近距離用は視線の高さ1,400〜1,800mm、遠距離用は人の頭より上に掲げる
- 角小間と中小間で置ける面が変わるため、小間位置の連絡後に配置を固める
- 吊り看板は主催者の許可が必要な展示会がある。申込の締切は会期の約2か月前
- 展示会名や年号を入れなければ、翌年もそのまま使い回せる
看板は、ブースのなかで最も遠くまで届く部品です。
その一方で、置ける場所も申請の要否もブース側の条件に縛られます。
デザインを考える前に、どこに立つ人へ何メートル先から見せるのかを決めてください。
その一点が決まれば、種類もサイズも文字の大きさも自動的に絞り込まれます。
逆に言えば、距離を決めないまま「目立つ看板をお願いします」と発注すると、判断の基準がないまま色と大きさの議論に入ってしまいます。
出展要項が届いたら、吊り看板の可否と申込の締切だけは先に確認しておいてください。
そこさえ押さえておけば、デザインの検討はあとから十分に間に合います。
