展示会の出展費用に使える補助金や助成金があることは、多くの担当者が知っています。
ところが実際に申請しようとすると、同じ金額を払っていても契約のしかたで対象外になるという壁に当たります。
什器を買えば対象外でリースなら対象、デザイン費だけの契約は対象外、自社で設営したら対象外。
こうした線引きが募集要項に書かれていて、ブースの見積を組む段階で対象になるかどうかが決まってしまいます。
制度を見つけてから見積を直そうとしても、発注が済んでいれば手遅れです。
この記事では、2026年度(令和8年度)に展示会の出展費用へ使える制度を、東京都の助成事業を軸に整理しました。
対象になる経費の線引き、申請の締切、そして見積の組み方まで通して分かる内容にしています。
なお制度の要件・金額・締切は年度ごとに変わります。 この記事の内容は2026年9月18日時点のもので、申請の前には必ず公式サイトで最新の募集要項を確認してください。
展示会の出展費用に使える補助金・助成金の全体像
展示会に使える支援制度は、国・都道府県・市区町村の3つの階層にあります。
どれか1つを探すのではなく、自社が使える制度を3階層それぞれで確認するのが基本です。

補助金と助成金の違い
補助金と助成金はどちらも返済の必要がない資金という点で共通していますが、制度としての性格には違いがあります。
補助金は国や自治体が政策目的のために予算を組んで公募するもので、申請すれば必ず通るとは限らず、審査を経て採択が決まります。
助成金は要件を満たせば支給されるものが多く、雇用関係では労働保険を財源とする制度を指すことが一般的です。
ただし展示会の分野では「助成事業」という名前でも審査があり、採択されるかどうかは審査結果によります。
どちらの名称でも、申請したら自動的にもらえるものではないと考えておくのが安全です。
国・都道府県・市区町村の3階層で探す
自社が使える制度を漏らさないためには、次の3階層をそれぞれ確認していくのが基本の探し方になります。
| 階層 | 主な窓口 | 特徴 |
|---|---|---|
| 国 | 中小企業庁、JETRO | 全国の事業者が対象。公募回ごとに条件が変わる |
| 都道府県 | 産業振興公社、産業労働局 | その都道府県に所在する事業者が対象。展示会に特化した制度がある |
| 市区町村 | 商工課、産業振興課 | 金額は小さいが競争が緩やかなことがある |
基準になるのは展示会の開催地ではなく、自社の所在地です。
東京の会社が大阪の展示会に出る場合、使えるのは東京都と、自社のある区市町村の制度になります。
ほとんどの制度が「後払い」である
制度を検討するうえで見落としやすいのが、助成金が実際に振り込まれるタイミングです。
補助金も助成金も、申請が通ったからといって先にお金が入るわけではありません。
出展が終わって支払いを済ませ、実績を報告して検査を受けたあとに振り込まれます。
つまり出展費用は一度すべて自社で立て替える必要があり、資金の準備は満額でしておかなければなりません。
入金までの期間は制度によりますが、会期から半年以上かかることも珍しくありません。
もう1つ押さえておきたいのが、申請のタイミングが「出展前」に限られるという点です。
終わった展示会の費用をあとから申請できる制度はほとんどなく、出展を決めた時点で制度を探し始める必要があります。
そして多くの制度には申請の受付期間が設定されており、その期間を過ぎると次の回まで待つことになります。
つまり制度を使うかどうかは、出展する展示会を選ぶ段階の判断になります。
展示会の会期が3か月後に迫っている状態で探し始めると、間に合う制度が見つからないことがほとんどです。
制度の性格としてもう1点知っておきたいのが、公的資金なので使い道の証明が厳しく求められることです。
見積書・契約書・納品書・請求書・振込控えといった書類がそろっていること、そして制作物や設置状況が写真で確認できることが条件になります。
東京都の展示会出展助成事業(令和8年度)
展示会に特化した制度として規模が大きいのが、東京都中小企業振興公社の「展示会出展助成事業」です。
制度の詳細は公社の事業ページと、そこから入手できる令和8年度の募集要項(V1.1)で公開されています。

助成限度額150万円・助成率3分の2
募集要項には、助成内容が次のように定められています。
助成限度額:150万円
助成率:助成対象と認められる経費の3分の2以内(千円未満切捨て)
助成対象期間:交付決定日から1年1か月以内
助成率が3分の2ということは、対象経費が225万円あれば上限の150万円に届く計算になります。
1小間の出展でここまで届くことは少ないため、複数小間で出展する場合や、印刷物や動画をあわせて発注する場合に上限が意識されてきます。
千円未満は切り捨てになるので、端数の扱いも見積の段階で押さえておいてください。
申請は年10回、各回の締切
この制度は年間で10回の受付があり、それぞれ締切が決まっています。
募集要項には「申請受付:全 10 回 ※各回最終日は 16 時締切」と明記されており、日程は次のとおりです。
| 回 | 申請受付期間 | 交付決定日 | 出展開始 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 令和8年4月1日〜4月14日 | 6月1日 | 7月1日 |
| 第2回 | 5月1日〜5月14日 | 7月1日 | 8月1日 |
| 第3回 | 6月1日〜6月15日 | 8月1日 | 9月1日 |
| 第4回 | 7月1日〜7月14日 | 9月1日 | 10月1日 |
| 第5回 | 8月1日〜8月14日 | 10月1日 | 11月1日 |
| 第6回 | 9月1日〜9月14日 | 11月1日 | 12月1日 |
| 第7回 | 10月1日〜10月14日 | 12月1日 | 令和9年1月1日 |
| 第8回 | 11月1日〜11月16日 | 令和9年1月1日 | 2月1日 |
| 第9回 | 12月1日〜12月14日 | 2月1日 | 3月1日 |
| 第10回 | 令和9年1月1日〜1月14日 | 3月1日 | 4月1日 |
申請は毎月1日から14日前後までの2週間しか開いていません。
この期間を逃すと翌月の回に回るため、交付決定も出展開始も1か月ずつ後ろにずれます。
交付決定の翌月以降に出展するものが対象
もっとも重要な条件がこれです。
募集要項には、出展可能期間が「交付決定日が属する月の翌月1日以降かつ助成対象期間内」と定められています。
つまりすでに終わった展示会や、交付決定より前に開催される展示会は対象になりません。
表のとおり、第1回に申請しても出展できるのは7月1日以降です。
申請から出展までは最短でも3か月かかると考えて、出展を決めた時点で逆算を始める必要があります。
事務手続き説明会への参加が必須
交付決定のあとには説明会があります。
募集要項のスケジュール表には「事務手続き説明会」として各回の日程が記載され、「参加必須です。ご予定の確保をお願いします。」と書かれています。
第1回であれば令和8年6月9日、第6回であれば11月10日といった具合に、いずれも交付決定の直後です。
担当者の予定を押さえておかないと、この1日で手続きが止まります。
申請できる事業者の条件
対象は都内の中小企業者で、業種ごとに資本金と従業員数の上限が定められています。
| 業種 | 資本金 | または | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|---|
| 製造業、その他 | 3億円以下 | 又は | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 又は | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 又は | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 又は | 100人以下 |
このほか、ソフトウェア業・情報処理サービス業は3億円以下または300人以下、旅館業は5千万円以下または200人以下と個別に定められています。
あわせて「大企業が実質的に経営に参画していないもの」という条件があり、親会社が大企業の場合は対象外になることがあります。
申請は国の電子申請システム「Jグランツ」からのみ受け付けられ、利用には「GビズIDプライム」のアカウントが必要です。
募集要項には「国の審査によりID発行まで時間がかかるため、余裕を持って準備してください」と注記されています。
助成対象になる展示会の10条件
展示会そのものにも条件があります。
募集要項には「申請事業者の販路拡大を主たる出展目的とした展示会等であり、次の(1)~(10)を全て満たす必要があります」とあり、次の10項目が挙げられています。
- 事業者との商談を主たる目的とする展示会等であること
- 出展可能期間内に開催される展示会等であること
- 主催者発行の出展案内(出展要項)が公開され、公募されていること
- 特定の顧客のみを来場対象とする展示会ではないこと
- 申請事業者が主催又は運営に携わる展示会等ではないこと
- 申請時点で販売を開始している自社商品又は自社取扱商品を展示すること
- 申請事業者が主体の出展であること
- 販売を行わない出展であること
- 起業家・ファンド等からの資金調達を目的に行う出展ではないこと
- オンラインのみの開催はリアルタイム商談機能があり会期の定めがあること
注意したいのは6番で、開発中の試作品を見せるだけの出展は対象になりません。
募集要項にも「試作品の PR や市場調査を主目的とした出展等は助成対象外」と明記されています。
また8番により、会場で商品を販売する形の出展も対象から外れてしまいます。
なお募集要項には「出展予定の展示会が助成対象となるかについて、申請前のお答えはできません」と書かれており、事前に可否を問い合わせて確認することはできません。
共同出展とみなされると対象外になる
7番の条件が、実務でもっとも見落とされます。
募集要項が共同出展とみなす例は、次のとおりです。
・同一小間内に複数企業で出展する「共同出展」
・経費負担に関わらず他社を PR する出展(社名板・会場案内図・壁面等に他社名の掲示が
ある、小間内で他社や他社商品(自社取扱商品を除く)の紹介がある 等)
さらに「商品製造元・関連会社・グループ会社・親会社・子会社等も他社に該当する」と注記されています。
つまりグループ会社と一緒に出展した場合も共同出展とみなされ、対象外になります。
代理店契約を結んでいる自社取扱商品は例外ですが、それ以外の他社名が小間のなかに出ていると条件を満たしません。
隣接他社と一体に見える装飾も対象外
共同出展の例には、装飾についての項目もあります。
・隣接他社の小間と一体に見える装飾・デザインの出展 等
隣の小間と壁の色を揃えたり、通路側のデザインを続けたりすると、書類上は単独出展でも共同出展と判定される可能性があります。
これはブースのデザインそのものが助成の可否に関わるという意味で、装飾の設計段階で意識しておく必要があります。
小間の基本的な仕組みについては「展示ブースとは?種類・小間サイズと出展の進め方」で解説しています。
何が対象経費になるのか
どの経費が対象になるかは、実際に戻ってくる金額に直結する部分です。
対象経費は募集要項に列挙されたものだけで、記載のない経費はすべて対象外になります。

経費区分は展示会等参加費と販売促進費の2つ
募集要項では、経費が2つの区分に分けられています。
| 経費区分 | 助成対象経費 | 助成限度額 |
|---|---|---|
| 展示会等参加費 | 出展小間料 | - |
| 資材費 | - | |
| 輸送費 | - | |
| EC出店初期登録料 | 20万円 | |
| 販売促進費 | 印刷物制作費 | 50万円 |
| 動画制作費 | 20万円 | |
| 広告掲載費 | 20万円 | |
| サイト制作・改修費 | 20万円 |
区分ごとに限度額が設定されているものがあるため、総額が150万円に届いていても項目ごとに削られることがあります。
印刷物に100万円かけても、助成対象として認められるのは50万円までです。
出展小間料の申請が必須
経費区分のなかでも、これは制度の構造として最初に押さえておくべき条件です。
経費区分「展示会等参加費」のうち、「出展小間料」「EC出店初期登録料」のいずれか(又は両方)の
申請は必須であり、「資材費」「輸送費」、経費区分「販売促進費」のみの申請はできません。
つまりブースの装飾費だけを申請することはできません。
小間料とセットでなければ申請自体が成立せず、さらに「助成事業実施後、『出展小間料』『EC出店初期登録料』が全額助成対象外となった場合は、事業中止となります」と書かれています。
小間料の要件としては、社名板や会場案内図に助成事業者名または自社ブランド名が掲示されていること、主催者発行の出展要項で小間料が確認できることが挙げられています。
資材費はブースの装飾委託費が対象
ブースの装飾や什器にかかった費用が入るのは、この資材費の区分です。
募集要項には対象として「小間内の装飾委託費、展示に必要な什器・備品等のリース代、光熱水費」が挙げられています。
この一文のなかに、実務で効いてくるポイントが3つ含まれています。
1つ目は装飾は「委託費」が対象で、自社で作業した分は含まれないという点です。
2つ目は什器や備品は「リース代」が対象で、購入した場合は含まれないという点です。
3つ目は光熱水費が対象に入っており、出展時に申し込む電力の費用も対象になり得るという点です。
あわせて「自社・自社商品・自社取扱商品を PR するポスター・パネル等掲示物の印刷委託費も対象となります」とされ、パネルの印刷も資材費で見られます。
委託先については「施工の場合は施工業者(施工管理を含む)、施工と印刷が一体になった契約の場合は施工業者、印刷のみ別契約の場合は印刷業者への委託であること」と条件が付いています。
動画制作費も対象になる
ブースで流す動画の制作費も、限度額20万円の範囲で対象です。
ただし対象として認められるための条件が、ほかの経費区分より細かく設定されています。
- 助成対象期間内に展示会等の自社小間内で放映すること
- 対象となる動画は1種類のみ
- 動画内に助成事業者名又は自社ブランド名の表示があること
- 動画制作を主要業務とする業者への委託であること
対象外となる例として「外部業者に委託せず、自ら制作する動画に係る経費」「他社名や他社の連絡先が映っている場合」「モデル等の人件費」が挙げられています。
自社で編集した動画は対象外となり、映像のなかに取引先の社名が入っていても外れてしまいます。
展示会で流す動画の作り方そのものは「展示会動画の作り方|尺・費用相場とブース設計の要点」でまとめています。
輸送費の条件
展示品や資材の運送委託費も対象です。ただし経路に条件が付きます。
対象は「自社と展示会場間の輸送費であり、経由地を含まないこと」とされ、発着地が明確に確認できることが求められます。
対象外の例には「レンタカー代、社有車のガソリン代、駐車場代、ドライバーの宿泊費・飲食費」と「保管や梱包に係る経費」が挙げられています。
自社の車で運ぶと対象になりません。 運送を主要業務とする業者へ委託した場合のみが対象です。
同じ金額を払っても対象外になる6つの落とし穴
ここから先が、制度の一覧を並べただけの情報では分からない部分になります。
同じ内容のブースを同じ金額で作っても、契約のしかたによって対象になるかどうかが変わります。

什器を「購入」すると対象外、「リース」なら対象
資材費の対象外の例として、次が挙げられています。
✕イ 助成事業終了後も使用できる特注品や資材の購入に係る経費
・タペストリー、横断幕、社名入りクロス、什器・備品の制作や購入 等
つまり社名入りのタペストリーを作ると対象外で、既製の什器をリースすれば対象になります。
「終わったあとも使えるものを買う」という形が除外されているためで、次回も使い回したい備品ほど対象から外れます。
繰り返し使う前提で買うか、今回の助成を優先してリースで組むかは、見積を作る前に決めておく判断になります。
デザイン費だけの契約は対象外
什器と並んでもう1つ見落としやすいのが、パネルやポスターのデザイン費の扱いです。
✕ウ ポスター・パネル等掲示物の印刷委託費については、素材の制作・購入のみの契約(印刷を含まない契約)
※素材とは、入稿データ作成費、デザイン費、画像・写真・ロゴ・イラスト・翻訳・CG 等を指す
パネルのデザインだけをデザイン会社に頼み、印刷を別で手配すると、そのデザイン費は対象外になります。
対象にするには、印刷を含む契約としてまとめる必要があります。
動画についても同じ構造で、「素材の制作・購入のみの契約(動画制作を含まない契約)」は対象外とされています。
制作物は「作って納品まで」を1つの契約にするのが、この制度に合う形です。
自社で設営・装飾すると対象外
費用を抑えようとして自社で作業すると、その分が対象から外れます。
※ 委託先へ支給する資材の購入経費、設営及び装飾を自社で行った場合の経費(テープ、接着剤、
釘、フック、マグネット、塗料、セルフコピー代、パネルフレーム等)も対象外となります
自社で装飾すれば現金の支出は減りますが、助成の対象になるのは委託した分だけです。
3分の2が戻ってくる前提で考えると、委託したほうが自己負担の総額は小さくなる場合があります。
どちらが有利かは金額次第なので、見積を取ってから比べる必要があります。
再委託されている経費は対象外
助成対象外経費の一覧には、次の項目があります。
(10)再委託(申請者が委託した業者からさらに別業者へ、主要な業務又は業務全部の委託)が行われて
いる経費
窓口となった会社が実作業を丸ごと別の会社へ流している場合、その費用は対象外になります。
あわせて「(9)国内取引において代理店との取引が行われている経費」も対象外とされています。
発注先を選ぶ段階で、その会社が自社で施工まで行うのかを確認しておく必要があります。
打ち合わせ・提案の費用は対象外
見積の項目名にも注意が必要です。
(5)調査、提案、打ち合わせ等に係る費用及びコンサルタント的要素を含む経費
見積に「企画提案費」「打ち合わせ費」「コンサルティング費」といった項目が立っていると、その部分は対象から外れます。
同じ作業でも、見積の書き方で対象かどうかが分かれることになります。
そのため見積は、募集要項の経費区分に沿って分けてもらうのが安全です。
出展しなかった展示会の経費はすべて対象外
6つ目は、申請したあとに出展を取りやめた場合の扱いです。
(8)出展しなかった展示会等に係るすべての経費(キャンセル料、資材費、輸送費等)
キャンセル料は対象外で、すでに払った資材費や輸送費も戻ってきません。
また「(16)契約から納品、支払い(決済を含む)までの一連の手続きが、助成対象期間内に完了していない経費」も対象外です。
支払いが助成対象期間を過ぎると、それだけで対象外になります。
支払条件が翌々月払いの場合などは、期間内に決済が終わるかを確認しておいてください。
助成金を前提にブースの見積を組むときの手順
ここまでの条件を踏まえると、助成金を使う前提でブースを発注するときの見積の作り方が決まってきます。

見積を経費区分ごとに分けてもらう
まず施工会社に依頼して、見積の項目を募集要項の経費区分に合わせて分けてもらいます。
具体的には「出展小間料」「資材費(装飾委託費・什器リース代・光熱水費)」「輸送費」「印刷物制作費」「動画制作費」に項目を割ります。
一式でまとめられた見積は、どこまでが対象経費なのか判定できません。
実績報告のときにも項目ごとの確認が必要になるため、最初から分けておくほうが後の作業が軽くなります。
リースと購入を意図して選ぶ
什器や備品は、成り行きで決めずにリースか購入かを意図して選び分けます。
今回の出展だけで使うものはリースにし、次回以降も確実に使うものだけを購入するという分け方が実務的です。
社名やロゴが入るものは特注品になるため購入では対象外になりますが、既製品のリースなら対象になります。
ブランドカラーで揃えたい部分は、貼り替えのきくグラフィックで対応するとよいでしょう。
印刷とデザインを一体の契約にする
パネルやポスターについては、デザインから印刷までを1つの契約としてまとめて発注します。
前述のとおりデザインだけの契約は対象外になるため、発注先を分けるとその分が落ちます。
動画も同様に、撮影や編集を含む制作の契約として発注してください。
施工と印刷を一体で契約する場合は、委託先は施工業者になると募集要項に明記されています。
写真で使用状況を残せる形にする
対象経費の条件には、確認できることという要件が繰り返し出てきます。
資材費では「自社小間内での使用が写真等により確認できること」とされ、対象外の例には「写真等で個数を含む使用状況が確認できないものに係る経費」が挙げられています。
動画についても「自社小間内での使用状況を、写真等により確認できない場合」は対象外です。
会期中に、申請した資材がすべて写る写真を撮っておく必要があります。
個数まで確認できることが条件なので、什器が複数ある場合はまとめて写る角度も押さえておきます。
撮影のタイミングは、設営が完了して来場者が入る前の時間帯が確実です。
会期中は人が写り込んで什器が隠れてしまうため、朝の開場前に一通り撮っておくと報告書類で困りません。
撮る対象は「申請した経費に対応するもの」なので、見積の項目と写真を1対1で並べられる状態にしておきます。
パネルであれば掲示された状態、什器であれば配置された状態、動画であれば画面に映っている状態がそれぞれ必要です。
全国で使える国の補助金
東京都以外の事業者や、都の制度と別に検討したい場合は国の補助金があります。

小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が販路を開拓するための取り組みを支援する制度で、窓口は中小企業庁です。
公募情報はミラサポplusの制度ページで案内されています。
2026年10月1日時点で案内されていた枠と受付期間は、次のとおりです。
| 枠 | 補助率 | 補助上限額 | 申請受付期間 |
|---|---|---|---|
| 一般型 通常枠 | 2/3 | 最大250万円 | 2026年11月5日〜12月15日 |
| 一般型 災害支援枠(令和8年熊本地震) | 制度ページに記載なし | 制度ページに記載なし | 2026年9月16日〜10月16日 |
| 創業型 | 制度ページに記載なし | 制度ページに記載なし | 2026年11月5日〜12月15日 |
展示会への出展費用が対象になるかどうかは、枠ごとの公募要領で経費区分を確認してください。 制度ページには経費区分までは掲載されていません。
枠と受付期間は公募回ごとに変わるため、現在どれが開いているかは必ず公式ページで確認する必要があります。
商工会議所への相談が前提になる
この制度で特徴的なのは、申請の前に商工会議所または商工会を通す必要がある点です。
公式ページには「地域の商工会議所・商工会への相談と計画書の確認が必須」と記載されています。
経営計画書と補助事業計画書を作成し、確認を受けてから申請する流れになります。
この確認に時間がかかるため、締切の直前に動き出すと間に合いません。
商工会議所の会員でない場合も相談はできますが、余裕を持って連絡しておくのが確実です。
公募回ごとに条件が変わる
持続化補助金は、公募の回によって枠・補助上限額・加点項目が変わります。
過去の情報をもとに申請の準備を進めると、要件が変わっていて条件を満たさないことがあります。
必ずその回の公募要領をダウンロードして、対象経費と上限額を確認してください。
公募要領は改訂されることもあるため、版の表記も見ておくと確実です。
実際に今回参照した東京都の募集要項もV1.1という版数が付いており、初版から修正が入っていることが分かります。
古い版を印刷して社内で回していると、修正された条件を見落とすことになります。
このほか国の制度としては、海外の展示会への出展を支援するJETROの事業や、設備投資を伴う場合のものづくり補助金が候補になります。
ただしものづくり補助金は設備投資が主目的の制度なので、展示会の出展費用だけを対象に申請できるものではありません。
自社の目的が販路開拓なのか設備投資なのかで、選ぶ制度が変わってきます。
海外展示会を検討している場合は、JETROの支援事業に加えて自社の所在地の自治体の制度も候補になります。
東京都の展示会出展助成事業も海外の展示会を対象に含めており、海外の出展小間料に限っては主催者が認める代理店を経由した申込や支払いも対象とされています。
国内の展示会では代理店を介した取引が対象外になるため、この点は海外だけの例外です。
自治体の制度の探し方
都道府県や市区町村にも、展示会の出展を支援する制度があります。
金額は国や都の制度より小さいものが多いのですが、そのぶん競争が緩やかなことがあります。

自社の所在地の自治体から探す
探す順番としては、まず都道府県の産業振興公社を見て、次に市区町村の商工課や産業振興課を確認する流れが効率的です。
たとえば大阪府には「令和8年度 中小企業展示商談会出展支援事業費補助金」があり、府の公式サイトで案内されています。
対象経費は展示商談会の出展小間料金で、補助率2/3・補助額は下限10万円から上限200万円、申請期間は令和8年7月1日から12月18日午後5時までとされています。
締切前でも予算の上限に達した時点で受付を終了すると明記されているため、早めの申請が前提になります。
探すときに気をつけたいのが、似た名前でも「出展する企業」向けではない制度がある点です。
たとえば名古屋市の「共同振興事業(見本市・展示会事業)」は、展示会に出展する企業ではなく、展示会を開催する中小企業団体が対象です(補助率15%以内・上限100万円)。
制度名に「展示会」と入っていても対象者が違うことがあるため、募集要項の対象者の欄を先に読んでください。
自治体の制度は検索で上位に出てこないことが多いため、自治体名と「展示会」「販路開拓」「出展」を組み合わせて公式サイト内を探すほうが早く見つかります。
商工会議所に問い合わせると、地域の制度をまとめて教えてもらえることもあります。
展示会の開催地ではなく所在地が基準になる
制度の対象は、原則としてその自治体に事業所を置く事業者です。
東京の会社が大阪の展示会に出る場合、使えるのは東京都と自社のある区市町村の制度で、大阪府の制度は使えません。
逆に言えば、海外や遠方の展示会に出る場合でも自社の地元の制度が使えることになります。
東京都の制度では海外展示会も対象になっており、募集要項には「海外展示会の出展小間料に限り、主催者が認める代理店を経由した申込・支払いも対象」という例外が設けられています。
募集が締め切られていることもある
自治体の制度は、予算に達した時点で受付を終了するものがあります。
年度の前半で締め切られる制度もあるため、年度が始まった時点で候補を洗い出しておくのが確実です。
また、単年度で終わる制度や、隔年で実施される制度もあります。
昨年使えた制度が今年もあるとは限らないので、毎年度の確認が必要になります。
確認するタイミングとしては、年度が切り替わる4月と、次年度の予算が動く1月から2月の2回が効率的です。
4月は新年度の制度が公開される時期で、1月から2月は翌年度の方針が示される時期にあたります。
このタイミングで候補を洗い出しておけば、出展する展示会を決めるときに使える制度が手元に揃います。
なお制度の一覧は、中小企業基盤整備機構が運営する支援情報のポータルや、各自治体の産業振興サイトでまとめて確認できます。
申請から入金までのスケジュール
制度を使うと決めたら、内容を詰める前に日程を先に押さえてしまうのが確実です。
補助金や助成金は締切が動かないため、ここが出展全体の工程を決める起点になります。

申請前に準備するもの
東京都の制度では、申請の前に次の準備が必要です。
- GビズIDプライムアカウントの発行(国の審査があり時間がかかる)
- 申請概要書のダウンロードと入力
- 申請要件を満たしているかの確認
- 必要書類の取得
このうちもっとも時間がかかるのがGビズIDプライムの取得で、募集要項にも余裕を持って準備するよう注記されています。
すでに他の補助金で取得済みであれば、そのまま使えます。
交付決定から出展までの期間
申請してから交付決定が出るまでは、2か月程度かかります。
第1回であれば4月14日締切に対して交付決定が6月1日、出展できるのは7月1日以降です。
この間に事務手続き説明会があり、参加が必須とされています。
出展を決めてから実際に出展できるまで最短3か月という日程感を持っておくと、展示会の選び方も変わってきます。
すでに申し込んでしまった展示会には使えないため、展示会を探す段階から制度を意識する必要があります。
実績報告と入金の時期
出展が終わってから助成金が振り込まれるまでの流れは、次のとおりです。
募集要項のスケジュールでは、実績報告は「全ての出展支払いが完了後、2か月以内を目途にJグランツでご提出」とされ、回ごとに最終期限が定められています。
そのあと完了検査を経て助成金額が確定し、請求してから「請求日から30日以内を目安に振込み」となります。
つまり会期から入金までは、早くても数か月かかります。
実績に基づいて減額される場合もあると明記されているため、満額が入る前提で資金計画を立てないよう注意してください。
展示会の費用全体の組み立ては「展示会ブースの費用相場と内訳|コスト削減のコツ」で解説しています。
実績報告で求められる書類も、あらかじめ把握しておくと会期後の作業が軽くなります。
東京都の制度では、履行確認に必要な書類として制作物や写真、支払確認に必要な書類として見積書・契約書・納品書・請求書・振込控えが挙げられています。
対象外経費の一覧には「経理関係書類に不備・不足がある経費」も含まれているため、書類が1枚欠けるだけで対象から外れます。
また「手形小切手又は電子記録債権による支払いが行われている経費」も対象外とされているので、支払方法も確認しておいてください。
展示会の補助金・助成金によくある質問

終わった展示会の費用を後から申請できますか
できません。
東京都の制度では出展可能期間が「交付決定日が属する月の翌月1日以降」と定められており、交付決定より前に開催された展示会は対象外です。
補助金や助成金は原則として事前申請なので、出展を決めた時点で制度を探し始める必要があります。
複数の制度を同じ展示会に使えますか
同じ経費に対して複数の制度から助成を受けることは、原則としてできません。
ただし対象となる経費が重ならなければ、制度を組み合わせられる場合があります。
判断は制度ごとに異なるため、必ず双方の窓口へ確認してください。
申請すれば必ず通りますか
申請すれば必ず通るという制度ではありません。
東京都の制度でも審査があり、募集要項には出展予定の展示会が対象になるかを申請前に答えることはできないと明記されています。
採択されなかった場合も出展費用は自社負担になるため、制度を前提に予算を組むのは避けるほうが安全です。
グループ会社と一緒に出展しても使えますか
使えません。
東京都の制度では、共同出展とみなされる例に「商品製造元・関連会社・グループ会社・親会社・子会社等も他社に該当する」と明記されています。
小間のなかに他社名の掲示や他社商品の紹介があると、それだけで条件から外れます。
助成金の対象になるブースにするには何を決めればいいですか
決めるべきなのは装飾の内容ではなく、契約の形です。
具体的には什器をリースにするか購入にするか、デザインと印刷を1つの契約にまとめるか、施工を自社でやるか委託するかの3点です。
いずれも見積を作る前に決めておく項目で、発注が済んでから変えることはできません。
助成金の申請は代行してもらえますか
申請の手続きそのものは、制度の窓口または専門家に相談する形になります。
ブースの施工会社は見積の作り方や書類に必要な写真の準備には協力できますが、申請そのものの代行は業務の範囲が異なります。
東京都の制度では代理申請の際に同意書の提出が求められる形になっており、誰が申請者になるのかは制度ごとに定められています。
申請の手続きについては、各制度の窓口または認定支援機関へ確認してください。
電力の申込費用も対象になりますか
東京都の制度では、資材費の対象として「光熱水費」が挙げられています。
展示会で主催者へ申し込む電力の費用はここに含まれ得ますが、最終的な判定は申請内容と提出書類をもとに公社が行います。
電力の申込は会期の約2か月前に締切が来るため、助成金の申請と並行して進める必要があります。
助成金を使う前提のブース制作はスリービーへ
ここまで見てきたとおり、助成金を使うかどうかでブースの見積の組み方そのものが変わります。
什器をリースで組むか、印刷とデザインを一体の契約にするか、施工を委託するか。
これらは制度の条件を読みながら決める必要があり、制作の途中からでは間に合いません。

見積の組み方から相談できます
スリービーは展示会ブースのデザインから施工までを一貫して手がけています。
募集要項では再委託や代理店を介した取引が対象外とされているため、どこまでを自社が担うのかは見積とあわせてお伝えします。
そのうえで、次のような形でご相談いただけます。
- 見積を募集要項の経費区分に沿って分けて提示する
- 什器をリースで組む案と購入で組む案を並べて比較する
- パネルのデザインと印刷を一体の契約としてまとめる
- 実績報告に使える写真の撮り方をあらかじめ決めておく
- 隣接する小間と一体に見えない装飾になっているかを設計段階で確認する
あわせて動画制作とVR制作も手がけているため、動画制作費の対象条件(外部業者への委託・1種類のみ・他社名が映らないこと)を踏まえた組み立てをご相談いただけます。
2〜8小間を中心に、30小間以上の大型ブースまで対応しており、東京ビッグサイトや幕張メッセ、インテックス大阪など全国の会場で施工しています。
なお制度の申請そのものの代行は行っておりませんので、申請手続きは各制度の窓口または専門家へご相談ください。
ご相談の際に分かっていると話が早いのは、出展する展示会の名前と会期、想定している小間数、そして使おうとしている制度の名前です。
制度が決まっていない段階でも、出展の時期が分かれば逆算して間に合う回があるかを一緒に確認できます。
逆に、すでに展示会を申し込んでしまっている場合は使える制度が限られるため、早い段階でご相談いただくほうが選択肢が残ります。
はじめての出展で制度も初めて使うという場合は、出展要項の読み方から一緒に整理していきます。
小間数や構法が決まっていない段階でも問題はなく、むしろ決める前にご相談いただいたほうが、助成の条件に合う形で組み立てられます。
「他社に断られた案件、お任せください」という考え方で、納期や条件の厳しい案件についても一緒に解決策を探しています。
助成金の活用を前提にブースを検討されている方は、下記のフォームからお問い合わせください。
まとめ

最後に、記事の内容を振り返っておきましょう。
- 展示会に使える制度は国・都道府県・市区町村の3階層にあり、基準は展示会の開催地ではなく自社の所在地
- ほとんどの制度が後払い。出展費用は一度全額を立て替える必要がある
- 東京都の展示会出展助成事業は助成限度額150万円・助成率3分の2以内、申請は年10回で各回最終日16時締切
- 出展できるのは交付決定日が属する月の翌月1日以降。終わった展示会には使えず、申請から出展まで最短3か月
- 申請はJグランツのみで、GビズIDプライムの取得が必要。交付決定後の事務手続き説明会は参加必須
- 「出展小間料」の申請が必須で、装飾費だけでは申請できない
- 資材費では装飾は委託費が対象・什器はリース代が対象・光熱水費も対象
- 什器の購入とデザインだけの契約、自社施工、再委託、打ち合わせ費用は対象外
- 動画制作費は20万円まで対象。ただし自社制作は対象外、対象は1種類のみ、他社名が映ると対象外
- グループ会社との出展や、隣接他社と一体に見える装飾は共同出展とみなされ対象外
- 全国では小規模事業者持続化補助金が使えるが、商工会議所の確認が前提で公募回ごとに条件が変わる
補助金や助成金は、見つけてから見積を直すものではありません。
制度の条件を先に読んで、それに合う形で発注するのが確実な使い方です。
とくに什器のリースと購入、デザインと印刷の契約の分け方は、あとから変えられません。
出展する展示会を決める段階で制度を並べて、逆算して動いていただければと思います。
制度は年度ごとに要件・金額・締切が変わりますので、申請の前に必ず公式サイトで最新の募集要項を確認してください。

